「下歯槽神経に配慮した術式の選択」
第35回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会 / 2017年11月 / 東京院 院長 広比利次
概要
顔面輪郭はその人の容貌を特徴つけるため、美容外科では患者からの改善要望は多い。部位としては、前額形成、頬骨形成、下顎角形成、オトガイ形成、上下顎形成などが一般的に行われている。近年、3次元模型が手軽に手に入るようになり、超音波切削機など最新の機器なども駆使することにより、さまざまな手法をもって安全、確実に患者の顔面輪郭を変えることができるようになってきた。
私自身は1996年、初めてオトガイ形成術を行って以来約4000例の顔面輪郭形成術を経験してきたが、患者の希望する『美しい小顔』を形成することは決して容易ではない。
さまざまな失敗から学び、術式を変遷させてきたが、いまだ解決できない問題が多く存在している。
とりわけ顔面輪郭で最も顔貌に影響を与えるのは下顎骨であることは異論がないところである。下顎骨の位置づけ、大きさ、形態で顔貌の印象は大きく左右されるのである。
本発表では、下顎形成術の難しさとして、骨切りデザインを自由にさせてもらえない下歯槽神経の走行に関して解剖学的な研究を行い、そこから得られた分析データから、さまざまな術式の優劣を検討する。
下歯槽神経損傷を避けながら、下顎形態を理想に近づけるか、現在自分が行っている工夫に関しても報告する。