「鼻翼縮小術のさまざまな問題点を克服する」
第38回日本美容外科学会総会 / 2015年9月 / 東京院 院長 広比利次
目的
鼻翼縮小術の主たる問題点として、術後の瘢痕、鼻翼形態の不自然さ、後戻りが挙げられる。これらの3つの問題点を克服するために、どのような点に注意して鼻翼縮小術を行うべきか、術前の評価方法、手術方法を検討する。
方法
過去10年間の404例に鼻翼縮小術を行った。鼻翼幅を縮小する目的が378例、フレアの改善が8例、両方を行ったのが20例であった。鼻翼幅の縮小に関してはalar base denuded flap法を行った。フレアの改善は、主にalar wedge resectionであった。
結果
後戻りに関しては、術中のフラップの幅のデザインから想定される縮小幅の約60%程度は長期フォローでも維持していた。鼻翼軸に注意して、フラップ基部の位置を調整することにより、alar distortionは問題とはならなかった。フレアの改善に関しては、シリーズ初期では鼻翼側壁に瘢痕を残していたが、近年はフラップ基部の位置を工夫することにより、側壁切除の適応は減少し、瘢痕の問題も少なくなった。
考察
Sheenらによると、鼻翼軸が垂直軸である場合には、術後の不自然な鼻翼形態となるため手術適応が無いとされていた。それに対してGruber によりPyriform ligamentを骨膜下でreleaseすることにより、鼻翼全体を狭められるという報告がなされた。私の行っている方法は、Millard, Danielらが報告したalar base deepithelialized flap法を改善したものであり、Alar releaseは皮下で行っている。どのようなタイプの鼻翼軸であっても、術後の鼻翼形態は自然であり、フレアも改善でき、後戻りも少ない優れた方法である。