Tardy変法による鼻尖縮小例の検討
第35回日本美容外科学会総会 / 2012年10月 / 東京院 飯田秀夫、広比利次、田中真輔、牧野太郎
目的
団子鼻が多い東洋人にとって鼻尖縮小は要望の多い手術であるが、厚い皮膚と柔らかい軟骨のため形態を変化させるのは決して容易ではない。当院では鼻尖縮小としてTardy変法を用いているが、その有用性を検討してみた。
対象および方法
2ヶ月以上の経過観察をおこなった87例を対象とした。鼻尖部に影響を及ぼす手術歴の有無、併用した軟骨移植の有無、鼻尖の変化の度合い、合併症の有無について調査をおこなった。
結果
手術歴のあるものは16例で、内訳は鼻尖縮小11例、鼻プロテーゼ13例であった。併用した軟骨移植は、大鼻翼軟骨の頭側切除部57例、耳介軟骨13例であった。鼻尖の変化は、だんご鼻の解消14例(16%)、軽快50例(57%)、不変22例(25%)であった。手術歴との関連では、手術歴なしでは解消、軽快、不変はそれぞれ13例(18.3%)、46例(64.8%)、11例(15.5%)、手術歴ありでは1例(6.3%)、4例(25.0%)、11例(68.8%)であった。合併症は感染1例、鼻尖・鼻翼間の凹み3例、鼻尖部の軟骨の触れが1例であった。鼻尖・鼻翼間の凹みが著明であった2例には側頭筋膜移植を行い、鼻尖部の軟骨触知1例には軟骨削りを行った。
考察
Tardy変法は鼻翼軟骨上の軟部組織を除去すると共に、鼻翼軟骨に割を入れて左右の内側・中間脚を縫合して支柱を作成する。支持軟骨の構造を積極的に変化させることで、細い鼻尖と鼻尖・鼻翼間のくびれを作り、スマートな鼻先とさせることが特徴である。今回の調査では73%の症例で団子鼻の解消、軽快が認められており、形態を変化させにくい東洋人にも適した効果的な鼻尖縮小法であると考えられる。しかし、手術歴のある症例では変化に乏しい症例が多かったことから、鼻翼軟骨の状態が不良、あるいは軟部組織が瘢痕化している症例には手術適応を慎重に考慮する必要があると思われる。