「鼻翼縮小術における術後の鼻翼下降を防ぐ鼻翼基部デザイン」
第100回日本美容外科学会 / 2012年5月 / 東京院 牧野太郎
目的
鼻翼幅の広がりの改善を目的とした鼻翼縮小術はアジア人にとって需要の多い手術の一つであるが、いくつかの問題点が存在する。鼻翼外側の目立つ手術瘢痕と術後の後戻りに関しては、2006年に報告したAlar denuded flap method (以下 エーラーフラップ法)によって解決した。今回、術後に鼻翼の位置が下方(尾側)に移動する問題点について考察し、これに対する改善策として鼻翼基部のデザインに工夫を加え、良好な結果が得られたので報告する。
方法
基本的術式はエーラーフラップ法と同じであるが、鼻翼内側基部から水平方向に線を引き、その頭側部分を内側の皮膚切除範囲とする。実際にはこの部位の皮膚は切除せずにdenuded flapとし、鼻柱側皮下に挿入する。Dog ear 変形が生じた場合は外側に切開を延長し修正する。
対象
2011年1月〜12月に当院で鼻翼縮小術を行った37症例のうち、経過が追えた29症例(女性23名、男性6名)を対象にした。そのうち従来法のエーラーフラップ法でおこなった群(22症例)とエーラーフラップ法を基本として鼻翼基部のデザインに新しい工夫をおこなった群(7症例)にわけ、鼻翼形態の評価を行った。平均観察期間は7.3ヵ月(1~9ヵ月)であった。
結果
従来法で行った群では11症例(50%)に鼻翼が尾側に偏位した。新法で行った群ではみられず、良好な結果であった。
考察
従来、鼻翼縮小術ではNostril sillを含めた鼻翼を切除することで鼻翼幅を縮小される方法が一般的に行われてきた。しかしながら鼻翼を入れ込む内側の皮膚の尾側部分を切除することで鼻翼が下がり、ACR( Alar-columellar relationship)が悪化することになる。デザインに改良を加えることにより、本法は正面からの鼻翼形態改善に有用であった。