「hump(段鼻)の改善:component reduction法」
第34回日本美容外科学会総会 / 2011年9月 / 東京院 院長 広比利次
目的
humpは西洋人の特徴と思われがちであるが、実際には軽度ではあるが日本人でも一般的にみられる鼻形態である。本邦ではhumpの改善には、シリコンプロテーゼを細工して挿入しカムフラージュする方法が盛んに行われている。鼻全体が低い症例にはそれでも良いのだが、高い症例ではやはりhump切除+鼻骨骨切りが適応になる。
humpを出来る限り安全に、かつ安定した結果を残すための術式の詳細を報告する。
方法
hump 切除は一般的にはクローズド法が選択されることが多い。humpの軟骨部分はメスで、骨性部分はノミで切除する方法(composite reduction)が多く行われている。その後におこなわれる外側骨切りは梨状孔縁切開からガード付きオステオトームで行うことが多い。
一方演者はそれとは異なり、オープン・アプローチではじめに鼻中隔軟骨、外側鼻軟骨を分離し、正確に軟骨性hump(鼻中隔)を切除(component reduction)し、さらに骨性humpは直視下にオステオトームで正確に骨切りを行っている。外側骨切り(lateral osteotomy)は経皮的に2mmのオステオトームで正確な位置での骨切りを心がけている。
結果
オープン法でのhumpのcomponent reductionは、形態的には安定した結果が得られる。また鼻中隔軟骨と外側鼻軟骨を分離し粘膜を保護することにより、鼻骨骨切り術後の代表的な術後合併症であるcollapseを防止することが出来る。
鼻柱、頬部の2mmの微小切開ともに瘢痕が問題になることはほとんどなかった。。
考察
西洋では鼻骨骨切りに関しては数多くの報告がある。一方、日本を始め東洋では鼻骨骨切り、hump切除自体が稀な手術であるためその報告が少ない。症例、経験の少なさと東洋人向けの文献報告の少なさから、本邦では効果的な正しい術式が行われていないのが現状である。本演題ではhumpにおける解剖学的知識、手術に際しての注意点に関して文献的考察を含めて詳述する。