「大きい目をつくる」
第33回日本美容外科学会総会 / 2010年10月 / 東京院 院長 広比利次
講演概要
目の印象が顔貌に大きな変化を与えることは異論がないと思われるが、そのため眼瞼手術がわが国の美容外科ではもっともポピュラーな手術となっている。従来から多く行われている手術として、重瞼術(埋没法、切開法)、眼瞼下垂手術、目頭切開術、目尻切開術などが挙げられる。
そもそも“大きい目”というものを分析してみると、第一に虹彩(角膜)の面積が大きく、その虹彩が上下方向に出来る限り露出していること、すなわち瞼裂高が大きいことである。但し頭側、尾側ともに瞼縁が角膜を覆わず,強膜が露出するscleral showの状態は好ましくなく、瞼裂高が大きいといっても頭側、尾側ともに上・下眼瞼が角膜をほんのわずかでも覆っていることが重要となる。上眼瞼に関しては一重瞼の患者においては重瞼術が、二重瞼である患者においては眼瞼下垂手術(挙筋腱膜前転術など)に準じた手術が第一選択となる。
さらに着目すべきは、下眼瞼縁がどれだけ角膜を覆っているかである。下眼瞼縁は角膜を1~2mm覆っているのが標準的であるが、“大きい目”を希望する患者では、この数値を0mmに近づけるよう、瞼縁を尾側に引き下げる必要がある。演者は2005年以降、皮膚側から皮膚(眼輪筋)切除、結膜側でcapsulopalpebral fasciaのtuckingを同時に行う新術式を考案して、良好な結果が得られている。個々の症例により適応は異なるが、瞼裂高に関しては上・下眼瞼手術を併用することがもっとも効果的である。
一方、“大きい目”をつくるには、瞼裂幅も重要である。目頭切開はさまざまな術式が報告されているが、蒙古襞が発達している症例では特に効果的である。但し内眼角距離が34mm以下の患者に対しては、眼が中央に寄りすぎた印象となるため禁忌と考える。目尻切開に関しては形態が不自然になりがちなことから行うべきではないと考える。
出来る限り多くの症例を提示しながら、如何に自然で“大きい目”をつくるかを検討する。