「治療コンテスト~高齢者のtotal facial rejuvenation~」
第33回日本美容外科学会総会 / 2010年10月 / 東京院 院長 広比利次
概要
アンチエイジングという言葉はすっかり一般にも浸透して、高齢化社会の到来とともに若返り治療に対する需要はますます増え続けている。フェイスリフト等の外科手術だけでは改善の限界があり、非外科手技をうまく組み合わせながら、生涯に及ぶメインテナンスが必要になる。 今回提示する症例では、たった一度の若返り手術を行って、どこまで若返り効果が得られるか?またどのくらいの期間その効果が持続するのか?を検討する。
症例は53歳・女性で、それまで美容、アンチエイジングなどにまったく興味が無く過ごしてきたためか、実年齢よりかなり老けている印象であった。目立った症状としては、額、眉間の皺、上眼瞼のたるみ(特にlateral hooding)、鼻唇溝を中心とした頬部のたるみ、jowl、頸部のたるみであった。これらに対して全身麻酔下で複合的に手術は行われた。手術内容は、額、眉間の皺、上眼瞼のたるみをひとつのunitと考えて内視鏡下前額除皺術を行い、骨膜下剥離により2箇所のマイクロスクリューでの固定を行った。
上眼瞼lateral hooding はかなり重症であったため、眉毛挙上術だけでは改善不十分と判断して、3点固定による埋没法を併用した。頬から頸部のたるみに対しては、Conventional SMASフェイスリフティングを施行した。さらにオトガイ後退に対して口腔内からシリコン・インプラント挿入し、たるみ改善とともに下顎ラインを整えて若さを強調した。
手術後早期の腫れの状態から6ヶ月目の状態を供覧し、さらに時を経て術後9年目の経過写真も供覧する。興味深いのは、本症例はこの手術以降は、フィラー、ボツリヌス毒素、レーザー、光治療を含め一切のメインテナンスを行うことなく9年が経過しているため、どの部位に、どの程度の後戻りがあるかを検討する。