「眉毛の理想の位置と術式の検討(眼瞼周囲をaestheticunitとして)」
第32回日本美容外科学会総会 / 2009年9月 / 東京院 田中真輔
目的
眉毛位置に着目したantiagingを考える。上眼瞼のたるみに対しては、上眼瞼切開や眉毛下切開、または前額リフト、さらに術式の併用も考えられる。術式によっては眉毛位置が移動することも念頭に入れなければならない。そこで眉毛を理想の位置にする術式を選択する必要がある。デジタル処理により眉毛の理想の位置を検討し、最適の術式とはいかなるものかを実際の症例を供覧しながら考察する。
方法
一人のモデルに対し眉毛の位置・形と顔の輪郭に絞り、フォトショップを使いデジタル処理を行い、それぞれにパターンを作り画像を作製する。印象について美容外科医30名、一般女性30名にアンケート調査を行う。統計の結果より理想の眉毛位置を検討し、計測ソフトmirror(株インテグラル)でその位置を測定する。この結果より当院で行った上眼瞼切開、眉毛下切開、前額リフトの代表的症例で術前術後の眉毛の変化を調べ、術式を検討する。
結果
概ね理想の眉毛位置は、内側は眼窩縁直上またはやや下方、高さのピークは外側にある。眉毛下切開で眉毛固定をしない場合、眉毛位置は下垂する。上眼瞼切開で余剰皮膚を切除すると、前頭開瞼を行う必要がなくなり同様のことが生じる。逆に前額リフトの場合は眉毛挙上術であるため、眉毛下垂を伴った上眼瞼皮膚弛緩の症例にはよい適応であり、文献的に術後眉毛位置は5~6mm挙上するとされている。しかしどの術式であれ術後の眉毛位置を正確に予測するのは困難である。
考察
理想の眉毛位置は年齢、顔の輪郭、開瞼の大きさ、流行等々で異なり、また感覚的な要素も含み一様には言えないが、理想の眉毛位置の基準を定め、術前に把握できれば術式の選択に役立つものとなる。前額や上眼瞼皮膚弛緩や眼瞼下垂により前頭開瞼を行っている症例では術後に眉毛が下垂することが多く、この場合術式によっては理想の位置に眉毛固定が必要となる。眼瞼周囲の手術では総合的に検討して一つのaesthetic unitとして術式の検討を図る必要ある。