「3次元的鼻尖形成術の重要性」※特別プログラム
第32回日本美容外科学会総会 / 2009年9月 / 東京院 院長 広比利次
目的
鼻尖形成術の効果を論じる際に正面・軸位の術前後比較写真に焦点が当てられることが多い。一般的に広く行なわれている左右の鼻翼軟骨同志を縫合する術式は 正面・軸位2方向では良好な結果となることが多いが、斜位・側面においては術前よりむしろ丸くて鈍な形態となることも少なくない。患者の望む”シャープな 鼻尖”というのは必ずしも正面から鼻尖幅を細くすることではなく、斜位・側面において鼻尖の突出点を明確にする必要がある。そこで3次元的に鼻尖を美しく形成する方法について検討する。
方法
鼻尖形態を観察する際に正面のみでなく、必ず側面の形態を評価する。
1)鼻尖の高さは十分か
2)鼻尖の最突出点の位置は上がり気味か、下がり気味か
3)突出点の曲率は正常か
などを分析する。手術デザインは美的基準に基づくが、患者の希望を最優先とする。 アプローチは open , closed を適宜使い分けている。 基本的戦略として鼻翼軟骨を中間脚から3~5mm外側脚に入ったところで切断し、鼻翼軟骨の連続性を断った上で切断端を翻転させ、中間脚、内側脚の縫合を 行なう。これは鼻尖に突出点をつくり、polly beak変形を防ぐためである。その際に各種軟骨を補強のために移植し、鼻尖の高さ・位置を調節している。
結果
重症度に応じて、また患者の希望する変化の度合いに応じて適切な術式を選択することにより、概ね良好な結果が得られた。合併症としては移植軟骨の偏位によ る左右差が最も多く、皮膚が厚く硬い症例では手術効果の限界があり、満足度が低かった。
考察
鼻尖挙上は安易に考えられるが、実際には術後の後戻りが見られる傾向があるため、open法での確実な固定が必要である。逆に鼻尖下降は患者にとって実際 の数値上の変化以上にとらえられることもあり、やや低矯正ぎみに仕上げるのが無難である。