「男性患者における下顎角形成術」
第51回日本形成外科学会総会 / 2008年4月 / 東京院 院長 広比利次
目的
顔面輪郭形成において、下顎角形成術を希望される患者は多い。 近年男性患者が増えてきているが、女性とは異なり下顎角を完全に失くすのではなく、自然な エラを残しつつ目立たなくすることを希望されることが特徴である。従来より報告の多いオシレーティングソーによる下顎角骨切り術では下顎枝後縁で骨切り線 が垂直方向となるためこの目的を達することが難しく、下顎形成というよりむしろ下顎角喪失となることが多い。そこで演者はコントラアングルによる水平方向 の骨切りと内視鏡を導入することにより良好な結果を得ることができたため報告する。
対象
2000年2月より2007年10月まで当院で下顎角形成術を行なった678例のうち、男性患者70例に関して検討する。
方法
全例全身麻酔下、口内法にて下顎角形成を行なっている。男性患者においてはセファロ上 gonial angle 110°~120°、mandibular plane angle 25°~35°を目安に骨切りを行なう。下顎角部、下顎枝後縁は術者さえ直視下に確認できないことも多く、内視鏡は本法の重要な武器となる。
結果
内視鏡を導入後は以前と比べ骨切りの安定度が増し、切除骨片はおよそ術前プラン通り切除することが可能となった。男性患者においては術後のmandibular plane angle を30°前後に設定することにより自然な下顎角を温存することができた。
考察
従来より報告されてきた下顎角形成術は狭い術野の展開ゆえ下顎角を直視下に確認できず、盲目的骨切りを余儀なくされることも多々あった。そのために過剰切除、左右差、ときに骨折などさまざまな合併症を引き起こすことになる。本法は安全かつ確実な骨切りが行なえ、男性患者においても自然な下顎角を残しつつ、左右差の改善を含めその形態を整えることができる優れた術式であると考える。