「下顎(エラ・オトガイ)形成術のコツとポイント」
第29回日本美容外科学会総会 / 2006年10月 / 東京院 院長 広比利次
目的
小顔を希望され来院される患者の中では、エラ、オトガイの改善希望が多い。注意すべき点として、患者のいうエラを下顎角と解釈し、下顎角に限定した骨切りを行なっても患者の希望に添った結果にならないことが多い。また、どちらかの単独手術後に却ってエラとオトガイのバランスが崩れ、再手術を希望されることもある。これら術後の患者の不満をさまざまな角度から分析し、理想的な下顎形成術がいかなるものかについて詳述する。
方法
2000年2月の開院以来、下顎形成術(下顎角形成術、オトガイ形成術を含む)約1000症例を経験した。患者の理想とする術後形態を実現するために下顎骨のどの部位をどのように処理すべきか、画像を含めて検討する。
結果
下顎角部(エラ)に限定した骨切り術は、主に側貌のみの改善を目的とした手術法であり、『ほっそりとした小顔に』という要求には合致しない。正貌においては、下顎体部を中心とした外板切除術、さらにオトガイ形成術を併用することにより下顎ライン全体がスムースで段差なく小さくなり、満足度の高い手術となる。但し、下歯槽神経の走行、咬筋肥大の程度により、その改善効果は限定される。
考察
下顎形成術はオトガイ神経を境に、便宜上エラ手術、オトガイ手術に分類されているが臨床的には下顎形成術としてこの両者を併用することにより、理想的な輪郭を形成することが可能となる。