「患者の希望に基づいた内眼角形成術」
第29回日本美容外科学会総会 / 2006年10月 / 東京院 大場教弘
目的
いわゆる目頭切開を希望する患者は、1)上眼瞼内側に張っている蒙古襞をとり平行型の二重にしたい、2)蒙古襞により、みかけの内眼角間距離が離れていて、瞼裂も横方向に小さく見えるのを改善したい、3)その両者、の3つに分類される。今回われわれは患者の希望を分類し、それをもとにしたデザインを患者とともに行い、満足度の高い結果が得られているので報告する。
方法
対象は、2005年8月から2006年6月において当院で内眼角形成術を施行した患者のうち計測データの揃っている45名。Park法に準じた余剰皮膚切除+Z形成術による内眼角形成術を行うが、1)に対しては正面視にて蒙古襞により二重の幅が狭くなり始める点をマーク、そこから垂直に降ろした重瞼線との交点を皮弁の先端とし、皮弁の幅は蒙古襞の張り具合、重瞼線の高さ、余剰皮膚の量などにより決定する。2)に対しては、蒙古襞を完全に切除するのか、部分的に残すのか希望により、患者に鏡を見て確認してもらいながら内側点をマークし、新しい目頭の位置を決定する。眼輪筋はヒダを構成している部分は切断し、線維性の靭帯付着部は切除する。
結果
1)16名(35.5%)、2)6名(13.3%)、3)28名(62.2%)、その他5名(11.1%)であった。術前のみかけの内眼角間距離は、1)34.9mm、2)38.0mm、3)37.5mmであった。内側点から皮弁先端までの平均距離は1)10.4mm、2)10.3mm、3)11.9mmであった。内側点からの見かけの切除幅は1)1.3mm、2)1.7mm、3)1.9mmとなった。
考察
われわれ日本人では蒙古襞が存在する方が約70%と非常に多いが、白人の様な内眼角の形態を望む患者は稀である。軽度の変化ですませたいとの要望が多く、それが蒙古襞の張りによる内眼角間距離なのか、二重を平行型に近づけたいのかポイントが分かれるようである。実際に患者と鏡の前でイメージを確認しながら各ポイントをマーキングすることで、患者の希望に沿った結果が得られた。