「逆T字型耳介軟骨移植による鼻柱augmentation」
第29回日本美容外科学会総会 / 2006年10月 / 名古屋院 院長 山岸誠治
目的
両側鼻翼基部を結んだ線より鼻柱基部が後方に引き込まれnaso-labial angleが鋭角になっている症例に対し、当院では耳介軟骨移植を行うことによりnaso-labial angleを鈍角にしているが、移植軟骨の術後偏位を予防するため、軟骨を逆T字型に細工して移植を行なっている。
方法
両側の鼻孔から鼻中隔前縁を鼻腔底まで切開し、さらに側方にも切開を広げanterior nasal spineまで剥離を行い、全体的に逆T字のスペースを作るようにする。そこに、cavum concha から採取した軟骨を逆T字に重ねて移植する。
結果
15例に行い、症例の経過観察期間は3ヶ月から24ヶ月であるが、術後偏位もなく良好な結果が得られた。
考察
鼻柱部のaugmentationには、材料としてはシリコン、長掌筋腱などもあるが、異物だと術後の固定が得にくく、また軟組織では augmentationの量を調節しにくい。耳介軟骨は重ねる事によって厚みの調節をしやすいが、棒状に細工した場合だと術後偏位して断端が鼻腔内に突出することもあった。今回、逆T字に細工し鼻腔底に密着させることにより安定性が増した。また、鼻翼軟骨内側脚よりも後方に移植することにより、移植軟骨が皮膚の上から蝕知することもなく、鼻柱のaugmentationには有効な方法だと考えられた。