「下眼瞼外側下制術~つり目を改善する方法~」
第49回日本形成外科学会総会 / 2006年4月 / 東京院 大場教弘
目的
若年者の瞼裂の特徴として、水平方向に長く、垂直方向に狭く、外眼角の位置は内眼角よりも10-15°上方に傾斜していることがあげられる。その特徴は東洋人では特に著明な場合があり、いわゆるつり目を、たれ目にしたいという希望が見受けられる。また目をより大きく見せたいという目的から眼瞼下垂手術、目頭切開術などを施行し、さらにそれ以上を希望される方が存在する。これらに対し我々は下眼瞼外側を下方に降下させ瞼裂を拡大する術式を考案した。
対象・方法
つり目を改善したい、あるいはより大きな目にしたいという主訴で来院した7例。局所麻酔下に、下眼瞼瞼板下縁で結膜を切開し、約10mm剥離する。瞳孔の外側縁から外眼角にかけて瞼板下縁とcapsulo-palpebral fasciaのtuckingを、術中座位で下制の程度を確認しながら行った。つづいて下制の程度にあわせ下眼瞼皮膚切除を睫毛下で行い、皮膚、結膜を縫合し手術を終了した。
結果
本術式により、瞼裂の自然な形を損なわず、瞼裂の拡大が得られた。瞳孔下縁におけるscleral showは認めず、内・外反などの合併症もなく、すべての患者において満足が得られた。
考察
目尻切開を希望する患者の要求は、目を大きくしたいというのが主で、目を横に長くするという意味ではないことが多い。一般的に目尻切開は、眼球が丸い為、外眼角を外側へ延長し、幅広くするというよりも、後方へ向いてしまうため、正貌において効果の大きな手術とはいえない。我々は下眼瞼外側を下方に下制することにより、瞼裂外側を縦方向に拡大し、目を大きくするという希望に応えることができた。目を大きくしたいと願う患者に対し、満足度の高い結果が得られ、症例を選択すれば、良い術式であると考えられた。