「整鼻術における自家組織(耳介軟骨、筋膜)移植について」
第49回日本形成外科学会総会 / 2006年4月 / 名古屋院 院長 山岸誠治
目的
隆鼻素材としては以前よりシリコンプロテーゼが一般的だが、異物を用いたくないという患者の希望や、鼻の皮膚の厚み、隆鼻する部位によっては、自家組織が 第一選択となる事も多い。また、自家組織も軟骨を使用する場合、筋膜などの軟部組織を使用する場合に分けられ、移植する軟骨の形も部位によって変わってくる。当院ではどのような基準で自家組織移植を行っているか、またそれぞれの自家組織の長所、短所、適応となる部位などを、実際の症例を供覧して説明する。
方法
過去4年間、整鼻術の際、自家組織移植を行った約100症例に対して、術式及び効果を検討した。
結果
耳介軟骨は、鼻尖部や鼻柱部には適しているが、鼻背部に移植する場合は軟骨をつないだ継ぎ目が触知しやすい。また、つないで使用する場合は移植軟骨の安定のため、2枚は重ねて使う方が望ましい。筋膜は皮膚が薄くなった鼻尖部や、鼻背の小範囲に使うには適しているが、厚みを細かく決めることができないのが欠点である。
考察
自家組織移植は、シリコンと違って適応範囲が広いが、短所もある。手術にあたっては、それぞれの素材の長所、短所を理解した上で使用する事が重要である。