「よりはずれにくい埋没法の工夫 −当院での術式(マイクロループ法)について−」
第27回日本美容外科学会総会 / 2004年10月 / 高松院 古屋富治雄
はじめに
埋没法は、正しい適応のもとに行えば非常に安定性がよく優れた術式のひとつである。埋没法が適応かどうかを決める際、通常鼻涙管ブジーを用い眼輪筋を含め た皮下組織の厚さおよび抵抗を推察し、それらが最も重要な術式決定の因子のひとつとなる。埋没法の原理とは、皮下に埋め込まれた糸が眼瞼挙筋の動きに連動 し、その結果として皮膚が巻き込まれて重瞼が形成される。鼻涙管ブジーでラインがはっきりと出て、まさしく埋没法の適応と判断される手術症例のうち、真皮 が非常に薄いために、埋没糸が真皮にほとんど引っかからない症例を経験することがある。このような症例の場合、術前に埋没法の適応と診断されても、真皮が 厚い症例と比べると重瞼の長期維持という点では劣ってしまう。また、術前に上眼瞼の真皮の厚さを判断することは不可能で、術中に糸をかけた時の抵抗でしか 判断できない。本来の埋没法の適応症例のうち、埋没法で行った重瞼ラインがいかに長期に維持できるかどうかは、埋没糸と皮下あるいは眼輪筋との連結が堅固 に行われるかどうかに依存する。埋没法にはさまざまな方法が報告されているが、皮下特に上眼瞼真皮の状態を考慮入れた術式の報告はほとんどない。
術式
本術式(マイクロループ法)は、皮下の埋没糸のかけ方に関する点で、他の埋没法とは異なる。埋没糸を上眼瞼の皮下にかける際、マイクロ鑷子を用いて外力が 加わっても十分把持できる強さが得られるように、真皮および眼輪筋を把持し1回から数回ループ状にかけることで、埋没糸と皮下との連結を堅固に保持する術 式である。
結語
マイクロループ法は、埋没法の適応症例のうち特に真皮の薄い症例に有効であると考えられる。