「下眼瞼Anti-aging治療における経結膜除脂術の評価について」
第47回日本形成外科学会総会 / 2004年4月 / 東京院 浪川浩明
目的
下眼瞼のしわ、たるみは、顔面の他部位より早期からエイジングが目立ち易く、その成因に関しても幾多の要素が関与する。除皺術が最も有効な治療法だとして も、実際には手術まで希望されない患者は多い。一方、この部位へのFillerによる治療は、その効果に対して疑問が残る。経結膜除脂術は手技に精通する と、ダウンタイムや合併症の発生を殆ど無視できると同時に、治療効果そのものもかなり高いレベルであると思われる。一般的に、経結膜除脂術は、単独では適 応が限られるように思われがちだが、我々は経験を通して適応拡大も期待できると考える。実証を踏まえて、経結膜除脂術の当院評価(手技、除脂量の決定、適 応など)を試みた。
方法
過去2年間で当院で経結膜除脂術を行った患者に対してアンケート調査を行なった。このうち満足と回答された112名に対して、不満と回答されたのは21名 であった。不満の内訳では“術前と不変”と云う内容が大半を占゚た。これに対して、懸念された“取り過ぎによる陥没”、“小皺の増加”などは見られなかっ た。つまり、不満の原因は大半が除脂量の不足である。我々は、採取脂肪の計量を常時施行している。これにより、適正除脂量を推測した。
結果
脂肪は立位正面から観察した膨隆に合わせて、内側、中央、外側より満遍なく除去されなければならないが、術者として少々取り過ぎ気味と思われる方が患者に は好評であり、客観的にも好ましく思われた。除皺術が必要と思われる症例に対しても、経結膜除脂術単独でも一応の効果が認められた。
考察
“プチ整形”花盛りの昨今であるが、下眼瞼は、解剖学的構造上、簡易手技での除皺効果は期待し難い。ダウンタイムが短く、安定した治療効果が期待できる数 少ない方法のひとつが、この経結膜除脂術である。今後、更に結果を安定させる努力を重ねるとともに、適応の拡大を検討したいと考える。