「下顎全周骨切り術 −エラ~オトガイen-blockostectomy−」
第47回日本形成外科学会総会 / 2004年4月 / 大阪院 院長 志賀由章
目的
下顎骨の輪郭形成術は、下顎角形成術、オトガイ形成術に2大別される。一部分が過剰に発達している場合はデザインも容易であり、過去の本学会でも発表したとおり、当院において450例以上の症例を有し、確立された術式として行われている。しかし、下顎骨全体が過剰に発達している場合は、下顎角形成を前方まで行ってもオトガイ部が目立つようになり、オトガイ部のみの切除では下顎角が強調されてしまう。また、小顔形成を希望して来院する場合には、バランスよく全体が軽度に発達していることが多いため、どちらか一方の手術を行うと逆にバランスを崩してしまう結果となる。これらの症例に対して、術前にコンピューターシミュレーションとセファロを分析し、デザインを決定する。
方法
2000年3月以降、下顎全周骨切り術を20例に対して施行した。手術法は口腔内よりアプローチ、下顎角切除を先に行う。切除部をデザインした後、切除予定部手前まで外板をラウンドバーで削っていき、下顎角よりオトガイ方向へドリルホールをあける。反対側も同様に行う。次にオトガイ部中央の粘膜を切開し、オトガイ神経を確認後、ラウンドバーで骨切り部位手前まで外板を削る。オトガイ神経下方もドリルの尖端が内板の途中でとまり、ドリルが突き抜けないように丁寧にドリルホールをあけていく。外板に見えるドリルホールのみドリルの尖端を前後に振って、点が線になるようにつなげることにより、en-blockに切除することが可能となる。
結果
今回、我々はオトガイ神経を切離せずに愛護的に扱い、下顎角からオトガイにかけてen-blockで骨切りを行う方法を考案した。すべての症例において、安全かつ安定した満足すべき結果を得る事ができた。