「生理食塩水バッグを用いた大胸筋下法による豊胸術の出血量減少に関する考察」
第23回 日本美容外科学会総会 / 2000年9月 / 高松院 院長 古屋富治雄
はじめに
美容外科における豊胸術は、ほとんどの場合日帰り手術であり、合併症としての術後出血は美容外科医が最も注意を払うべきことのひとつである。今回我々は、生理食塩水バッグの大胸筋下法による豊胸術において、出血量の減少につながる若干の知見を得たので報告する。
対象と方法
腋窩部の皮切で、生理食塩水バッグを用いて大胸筋下法にて豊胸術を行った患者を対象とした。大胸筋を確認した後、腋窩部周囲の大胸筋下を(1)盲目的剥離した群と(2)可能な限り直視下に剥離を行った群との2群の患者について調べた。術後は両側の剥離腔にサクションドレンを留意した。第一病日のドレン抜去時に、全液量を測定し、またドレン抜去時の色調を調べた。
結果
腋窩部周辺の大胸筋を可能な限り直視下に剥離した群では、ドレンの量は少なく、色調も淡血性であった。
考察
内胸動静脈からの穿通枝の損傷による出血は本手術の手技上避けられないが、腋窩部周囲の大胸筋の剥離による出血は手術手技により減少させられると考えられる。