「プロテーゼによる豊胸術 −大きさの点で高い満足度が得られる当院での方法−」
第46回日本形成外科学会総会 / 2003年4月 / 高松院 院長 古屋富治雄
はじめに
プロテーゼによる豊胸術で、我々術者がまず悩むことは大きさである。患者によっては、わずかに大きくすることを望む者もいれば、ブラジャーで2~3カップ以上を望む者もいる。豊胸術を受ける患者にとって最も不安を感じることのひとつは、術後の乳房の大きさであり、どの程度大きくなるかということを言葉で説明しても想像できないことであるそこで、実際の手術で使用するバッグを入れて、術直後の乳房を見せて確認するという方法を用いた。
手術手技および方法
麻酔方法として意識下の硬膜外麻酔を用い、左右にそれぞれ大きさの異なるプロテーゼ(Eurosilicone社:textured typeのcohesive silicone)を入れ、大きさの確認を行なった。体型、皮下脂肪の厚さ、もともとの乳腺のおおきさ、剥離スペースの余裕、皮膚の緊張の度合いから総合的に判断して、もう少し大きなバッグを入れても無理がないかを術中に説明し、希望に応じて大きさの異なるバッグに随時入れ替え、最終的に患者の希望に最も近いバッグを選択した。
結果
大きさに関しては2001年7月31日以降に手術を行なった17症例のうち、全例に満足度が得られた。手術時間は、バッグの入替えを繰り返さない従来の手術に比べて平均30分延長した。
考察
本手技の適応となるのは、術前術後の乳房の差が大きいと予想される症例、すなわち、痩せ型で乳腺があまり発達していない症例や、ブラジャーで2~3カップ以上の大きさを望む症例である。また、大きさに不安を感じるであろうと予想される症例においても有用である。本手技は、入替えに要する手術時間の延長という問題はあるものの、症例に応じて適応することで、より高い満足度が得られるものと思われる。