「顔面輪郭形成術を成功させるために」
第41回日本美容外科学会総会 / 2018年10月 / 東京院 院長 広比利次
概要
私自身が初めて骨切による下顎形成術を行ったのは1996年であり、それ以降約5000例の顔面骨骨切り術を経験してきた。顔面骨骨切り術は今もって難しい手術であると感じており、その要因は何であるかを考えてみた。
1)口腔内からのアプローチが多く、実際の骨切り線が術者にも見えないことも多く、その際には勘による骨切りを行わざるを得ないことが多々ある。
2)市販の骨切り器械では、骨切りの方向、角度が限定されて術者の意図した通りに骨切りができないことがある。
3)下顎骨内には下歯槽神経が走行しており、骨切りの際に神経損傷を完全に回避することが難しい。
3)硬組織である骨の形態変化に対して、手術後に軟部組織がどれだけ呼応するのか、リダクションする部位によっては皮膚の弛みを引き起こしやすい。
4)顔全体の三次元的バランスを評価し手術計画を立てるべきであるが、美容外科では患者の予算の都合など優先で、こちらの思うような手術計画が立てられない事情がある。自ずと手術結果は限定的になる。
5)側貌改善においては、様々なセファロ分析が行われたうえで上下顎手術計画を立てることになるが、軟部組織を最優先した分析方法を確立して治療ゴールの指針とすべきである。とりわけアジア人を対象とする我々の手術に、西洋人の骨格の基準値を当てはめてもしっくりこないことが多い。
6)アジア人独特の小顔手術においては、韓国、中国から最近は英文論文が掲載されるようになってきたが、その数は圧倒的に少なく、情報がup-dateされず、確立された術式が多いとは言えない。
以上のような様々な要因で顔面輪郭形成術を極めるために多くの工夫と修練が必要となる。私自身も特注の器械を作成したり、オリジナルの手術法を開発したり、その技を極めようと努力してまいりました。
今回の発表では、難しいと考えられる顔面骨骨切り手術をできる限り高い確率で成功に導くコツを詳述してまいります。