「鼻翼縮小に対する新手術法 −Alardenudedflapmethod−」
第49回日本形成外科学会総会 / 2006年4月 / 東京院 院長 広比利次
目的
鼻翼形態は人種により特徴的である。日本人はいわゆる白人型と黒人型との中間タイプに属するが、その広がりの改善を希望する患者は少なくない。古くはJosephに始まり、Seltzer, Sheenにより種々の変法が報告されている。鼻翼縮小術に関しては2つの問題点が存在する。ひとつは瘢痕の問題である。鼻翼部は皮脂腺が発達しているため縫合技術のいかんによらず、特に外側縁においては瘢痕が目立つことがある。ふたつめは鼻翼部の組織切除を行った際に、従来法では鼻翼基部間の距離はほとんど変わらず、大きな改善を得ようと組織を大きく切除すると鼻翼の解剖学的な丸みが失われ、不自然な形態を残すことになる。これら2つの問題点が鼻翼縮小術を困難なものとしているが、演者らは、瘢痕は最小限で、鼻翼の丸みを残しながら鼻幅を縮小する手術法を考案した。
方法
切開ラインはSheen法に準じるが、鼻翼外側縁まで伸ばさない。本来であれば紡錘型に切除する軟部組織を切除せず、表皮をdenudeして下方をpedicleとした軟部組織弁として温存する。
両切開部より鼻柱基部下方を通過する皮下トンネルを作成し、この2つのflapを互いに交差するように皮下トンネルを通して対側皮下組織に縫合し、medializationを行なう。
結果
2005年4月より本法を52例に施行した。従来法と異なり、大きな瘢痕を残すことなく、鼻幅縮小効果が得られ、満足すべき結果となった。
考察
従来法では、鼻翼基部間の距離を改善するのは困難とされている。本法は、本来は切除すべき組織を温存し、鼻翼を内側に引っ張るべく索引組織として利用し、大きな効果が得られる方法である。今後、長期follow―upを行なう必要があるが、現在報告されている鼻翼縮小手術の中では最も優れた術式であると考えられる。