当院で行なっている鼻翼縮小術 (Alar denuded flap method) の最近の改良点
第35回日本美容外科学会総会 / 2012年10月 / 東京院 牧野太郎、広比利次、飯田秀夫、田中真輔
目的
鼻翼幅径の改善を目的とした鼻翼縮小術は本邦において需要の多い手術の一つであるが、効果的な手術法の報告はみられない。われわれは鼻翼外側に手術瘢痕を残さず、術後の後戻りも少ない Alar denuded flap method (以下 ADFM) を2006年に報告した。今回、ADFMにいくつかの改良点を加え、良好な結果が得られたので報告する。改良した点は
(1) 術後に鼻翼の位置が下方(尾側)に移動する変形に対する予防策として鼻翼基部のデザインに工夫を加えたこと
(2) 鼻翼基部の皮下剥離を追加し、梨状孔靭帯を外していることである。
方法
基本式術式はADFMと同じであるが、鼻翼内側基部から水平方向に線を引き、それより頭側の鼻腔底皮膚を切除する。この部位の皮下組織は切除せずにdenuded flapとする。鼻翼基部の皮下剥離は十分な可動性を得るために頬部まで広げ、flapは鼻柱側皮下トンネルを通して対側に牽引し固定する。
対象
2011年1月~2012年3月に当院で鼻翼縮小術を行った50症例のうち、3ヶ月以上の経過が追えた41症例(女性34名、男性7名)を対象にした。そのうち従来法のADFM群(22症例)と鼻翼基部のデザインに新しい工夫をおこなったmodified ADFM群(19症例)にわけ、鼻翼形態の評価を行った。平均観察期間は7.3ヶ月(3~13ヶ月)であった。
結果
従来法で行った群では11症例(50%)で術後に鼻翼が尾側に偏位した。新法で行った群では尾側偏位はみられず、良好な結果であった。
考察
鼻翼基部で尾側部分を切除するデザインでは術後に鼻翼が下がり、Alar-columellar relationshipが悪化することになる。デザインに改良を加えることにより、本法は鼻尖、鼻柱とのバランスを崩すことなく、3次元的な鼻翼形態改善に有用であった。